なぜ児童文学なのか? その5

宮沢賢治

前記事の続きです

なぜ児童文学なのか? その4
前記事の続きです  毎日、毎日、ラジオもテレビも新聞も、時間のかからない新しい文明の利器の良さを強調し、ほめたたえました。こういう文明の利器こそ、人間が将来「ほんとうの生活」ができるようになるための時間のゆとりを生んでくれる、というのです。ビルの壁面にも、広告塔にも、ありとあらゆるバラ色の未来を描いたポスターがはりつけられました。絵の下には、次のような電光文字がかがやいていました...
Enigma – Odissey Of The Mind

何か新しいことを教えられる教師など
どこにもいない
彼は 私たちが常に知っていた事柄を
思い出す手助けをすることしかできない

『ENIGMA 3 : LE ROI EST MORT. VIVE LE ROI ! 』より

 

何かを誰かに相談することがあっても、結局は自分が決めなければならないし、自分の心の中に答えがあるって、よく聞くね。

 

モモに話を聞いてもらっていると、どうしてよいかわからずに思いまよっていた人は、きゅうにじぶんの意志がはっきりしてきます。
(ミヒャエル・エンデ作『モモ』より)

『モモ』の本の中で、ジジはこう言ってるわ

いぜんにはな、みんなはモモのところに話を聞いてもらいによく来たもんだ。話を聞いてもらっているうちに、みんなはじぶんじしんを見つけ出したんだ

みんな何かあると「モモのところに行ってごらん!」と言っていたのよね。殺し合いでもしそうなニコラとニノの大げんかも収まっちゃうんだもの。

モモは何がそんなに特別なの?

どういうわけか分からないんだけど…なにか、人の話に耳を傾けるのが上手みたいなのよ。

ユージン T.ジェンドリン氏による「フォーカシング」という心理療法があるのですが、モモは話を聞くことによって、これと似たような効果をもたらしているように思えます。

モモはつまりカウンセラーと同じなのかな?

フォーカシングは、カウンセラーがあることに気付いたことから生まれました。傾聴する相手がいることは、フォーカシングにとって大切なことの一つのようです。そして誰でもができるんだそうですよ。

俺でもできるのか?

あんたみたいに、バカがバカ呼ばわりしてるようじゃ、どうかしらねぇ?

正しく理解すれば、できるのかもしれませんね。

でも、モモはひどく孤独な思いをするってことだったけど?

モモがフォーカシングの能力を持っていることは、灰色の男たちにとって不都合だったので、彼らはまずモモを周囲から引き離そうとしたんです。

 

 「第一の問題はこうだ。」と、灰色の紳士はまた話し出しました。「きみがいることで、きみの友だちはそもそもどういう利益をえているかだ。なにかの役に立つか? いや、立っていない。成功に近づき、金をもうけ、えらくなることを助けているか? そんなことはない。時間を節約しようという努力をはげましているか? まさに反対だ。きみはそういうことをぜんぶじゃまだてしている、みんなの前進をはばんでいる! たぶんこれまできみは、それに気づかなかったんだろうね、モモーーーいずれにせよ、きみがいるってことだけで、きみは友だちに害悪を流しているんだよ。そうだ、そのつもりはなくとも、きみはほんとうはみんなの敵なんだ! それなのにきみはやっぱり、だれかが好きだなんて言うのかね?」
モモはどうこたえていいかわかりませんでした。こんなふうな考え方をしてみたことなど、いちどもありません。一瞬、彼女は自信がなくなって、この灰色の紳士のいうことは正しいのではないかとさえ思いました。

(ミヒャエル・エンデ作『モモ』より)

 

灰色の男って、こんなひどいことを平気で言うんだ…

モモはこの男の心の裏を吐き出させるのに成功するの。それで男は逃げるんだけど、それからもっとひどいことになっていくのよ。

えらくなるって、なんやろうね? 偉い人って、偉くない人がいっぱいおるから「偉い人」って言われるんやないの? みんなが偉くなったら、偉い人は普通の人やで、きっと。

 

そやからってずっと競争してれば、それこそ前に話に出た宮沢賢治の『蜘蛛となめくじと狸』みたいに地獄行きの競争やないの?

 

なぜ児童文学なのか? その2
前記事なぜ児童文学なのか? の続きです。 やみにきらめくおまえの光、 どこからくるのか、わたしは知らない。 ちかいとも見え、とおいとも見える、 おまえの名をわたしは知らない。 たとえおまえがなんであれ、 ひかれ、ひかれ、小さな星よ! (アイルランドの子どもの歌より) ↑ミヒャエル・エンデ作『モモ』は、この前書きから始まります。 モモ...

 

『バトル・ロワイヤル』の原作読んだよ。あれも「価値のある大人になってください」と言って、子供達を戦わせたね。

結局、モモのお話でも、偉さと成功の競争ばかりだから、時間を節約しても、お金があっても、幸せじゃなかったってことなのよね。

成功って、どうなることかな?

きっと、自分がどうなったら成功と思うかは、ひとりひとり違うはずよ。

でも、それを灰色の男たちは一つの価値に押し付けようとしてるね。

金はたんまり欲しいぜ!

それは、おばちゃんも否定せんわ。

「じゃ誰も進歩することに、関心を持ってないの?」
「言いたいことがよく、わからないな」
「ほかの人に差をつけて、抜き出ることだよ」
「より高い進歩度を持つことかな? それなら、精神訓練があるけどね」
「その度数のことじゃないよ」
「じゃ何なの?」
「他人より、よけいに持つことだよ」
「よけいに持つって、何を持つんだい。ペドゥリート」
「お金だよ」

(エンリケ・バリオス作『アミ 小さな宇宙人』より)

 

TO BE CONTINUE !

 

キタ、お金の話❤️

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なぜ児童文学なのか? その6
↓前記事の続きです 「じゃ誰も進歩することに、関心を持ってないの?」 「言いたいことがよく、分からないな」 「ほかの人に差をつけて、抜き出ることだよ」 「より高い進歩度を持つことかな? それなら、精神訓練があるけどね」 「その度数のことじゃないよ」 「じゃ何なの?」 「他人より、よけいに持つことだよ」 「よけいに持つって、何を持つんだい。ペドゥリート」 「お金だよ」 (...

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